あおぞらカルテ
みんなが出て言った後に説明室を片付けてドアを出ると、大屋先生が待っていた。


「道重先生、納得してないようですね?」

「……」

「これは、患者さんのためを想って言っていることなんですよ?私たちが悪者のように思ってるかもしれないですけど」

「いいえ!そんなことはっ!」


相変わらず大屋先生の観察眼は鋭すぎて怖い。


「患者さんだけじゃない。自分がどういう医者になりたいのか、それによって、病院を選ばないといけない時代ですからね」


どういう医者になりたいか?

ただ漠然と医者になりたくて勉強してきた。

なのに、医者になって、壁にぶつかった。

なんで医者になったんだろう?って。


「佐藤さんの転院サマリー作成してくださいね」


そう言い残して大屋先生は廊下を歩いて行く。

佐藤さんの今後も気になるけど、自分自身の方向性も気がかりだった。

ひとり残されて、しばらく廊下で立ち止まったまま動けなかった。

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