あおぞらカルテ
琴美ちゃんは申し訳なさそうに言う。

だからオレは訂正した。


「琴美ちゃんは悪くないんだし、謝んなくてもいいよ」

「だけど…里香、怒ってなかった?」

「怒ってるというか……オレが泣かせた」


里香にあんな顔させるなんて。

それに、あれはやっぱり、別れようってことだよな?

あの時、気持ちがもう病院に向いていて、里香の話なんて半分聞き流してしまってた。

今日だけじゃなくて、4月からずっと。



付き合って4年目。

里香とオレは終わりを迎えた。



医大のキャンパスで見かける度に、ずっとカワイイと思ってた。

看護学部との合同講義が楽しみだった。

サッカー部のマネージャーとして入部してきたとき、運命だって勘違いした。

オレが告ったとき、里香は嬉し泣きした。

2人で色んな場所に行った。

2人で笑ったり泣いたりした。

いつかは結婚しようって、家庭教師のバイト代をはたいてペアリングを買った。

里香が一足先に社会人になって、内心焦ったりもした。

ようやくオレも社会人になって、やっと追い付いたと思ってたのに…。

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