あおぞらカルテ
「えっ…!?里香ちゃんと別れた!?」


同じサッカー部だった同期に驚かれる。

それくらい公認の仲だったのに。


「マジかよ~?里香ちゃん、絶対すぐに彼氏できると思うなぁ…」


医局前の廊下でバッタリ会ったから、思わず愚痴をこぼしたら、逆に追い打ちをかけられた。

耳が痛い。

里香がカワイイのは重々承知だ。

他の男に狙われて当然だ。


「そうそう、今度またOBでフットサルやろうぜって話になってんだけどさ」

「いいなー、楽しそう」

「たまには息抜きしないと、身体が持たねぇよなー」


そんな話をした2週間後の日曜。

フットサル大会当日。

まさかとは思ってたけど、元マネージャーの里香の姿もそこにあった。

里香はオレのことを完全無視。

それを察してか、里香に気があったヤツらがチヤホヤしてる。

フラれた身で、黙って見てなきゃいけないオレは、それがイラついて仕方がない。


「そら~、ナイッシュー!!」


怒りにまかせて思い切り蹴ったボールは、魔球のようにゴールに吸い込まれて行く。

ハイタッチを求めてくる仲間。

だけど、オレのモヤモヤしたオーラに気付いて、手を引っ込める。


「道重…!!目が怖い!!」
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