あおぞらカルテ
里香の眼を見れなかった。

オレって最低な男でしょ?

要領悪くて、休みの日も患者さんばっかり気になって、プライベートまで犠牲にして。

コートを出ようと歩き出した、その時。

また里香はオレの腕をつかんだ。


「…里香、あのさ…っ」


言いかけて、振り向こうとしたとき、背中に里香の体温を感じた。

里香の腕はオレの腰に巻きついている。


「……里香?」


なんだ、この状況…?


「だって…好きなんだもん…。そらくんの、そういう所も全部…」


里香の声が背中に響く。

胸が熱くなる。


「ウソでも、私のことが大事って、言って欲しかっただけなのに…」

「…里香のことも大事だよ?ウソじゃない」


絡まった里香の細い腕を撫でた。


「…キスしてくれたら信じてあげる」

「ここで?」

「ここで」
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