あおぞらカルテ
そんな可愛いワガママ、叶えたくないわけがないでしょ?

里香の腕をほどいて、振り向いて抱き寄せた。

もう懐かしいその唇に、やわらかくキスを。


「…仕事、がんばってね」

「サンキュ。終わったら後で家に行く」


額が触れる距離での会話。

たった2週間離れただけなのに、ずいぶん懐かしく感じたんだ。


「お前ら…周りのこと忘れてないか?見せつけやがって…!!」


仲間たちに頭を引っ叩かれて我に返った。

フットサルコートのど真ん中で繰り広げたドラマは、城東医大サッカー部の伝説になるだろう。

まぁいいか。

未だ女ゴコロはわかんないけど、里香がどうしようもなく可愛いのは分かったよ。

きっといつか、絶対に迎えに行くから。

立派な医者になるその日まで、あと少しだけ待っててね?
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