あおぞらカルテ
はい、ワタシは使えない研修医です。

先ほどの患者さんは、脳挫傷があったから脳外科にオペしてもらうことになった。

とりあえず、救命の仕事はそこまでだ。

救命センターの医師控え室。

さっきの状況を思い出して、反省、反省、そして反省。


「おーい、道重くん?もしかして落ち込んでんの?」


さっきの人とは別人みたいな田尾先生が、たこ焼きを持って入ってきた。


「…あの…僕は何をすればよかったんでしょうか…?」

「それを考えるのが仕事だろ」


ソースの匂いが鼻をくすぐる。

田尾先生は美味しそうにたこ焼きを頬張る。


「じゃあさ、お前はあの状況で何ができた?」


いきなりの状況設定問題。


「…気道確保、循環管理…」

「バカ、そんな教科書みたいな答えを聞いてるんじゃない。“お前が”できることだ」

「オレが…?」

「一人で診てんじゃないんだぞ」


目からウロコだった。

そっか。

オレは勘違いしてた。

なんとか助けたい気持ちが空回りして、一人でテンパって、結局何もできずにいた。


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