あおぞらカルテ
コイツにだけは負けない…!

そう思ってた。

…なのに。


「おい!誰か挿管しろ!」


慌ただしい救急の現場。

騒がしい中で、一際通る声が聞こえた。


「はい!挿管しまーす」


必死に動脈血採血をするオレの視界に入ってきたのは、なんの迷いもなく気管内挿管する小畑だった。


「入りましたー!サチュレーション95まで回復」

「よーし、よくやった!」


…うそだろ…!?

あいつ、まだ一年目だろ?

医者になって、まだ半年で…

完全に負けた。


「道重先生、採血まだですか?」

「…す、すみませんっ!」


そんなオレを見て、また小畑は鼻で笑った気がした。

…悔しい。

オレ、この半年なにやってたんだ…!

使えない医者だなんて言われたくなかったけど、それは事実だ。

小畑と比べても、そう。

すげぇ悔しい。
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