あおぞらカルテ
里香の声に冷静になる。

動脈性の出血…ってことは、心臓は動いてる。

まずは止血か!?


「スカーフとかネクタイ、なんでもいいから持ってきて!あと、スパナか何か、硬いやつ!」


これでもかってくらい力まかせに縛りあげて左腕の止血をする。

…止まった!


「呼吸弱いな。頭打ってるかもしれないから、下顎挙上で気道確保して」


里香は、慣れた手つきで気道確保する。

瞳孔は右側が散大。

…頭打ったか?

時間の問題だ。

そうこうしていると、救急車のサイレンの音が近づいてきた。


「こっちです!!約5mの高さからの転落、左腕に切創あり止血してます!JCS3ケタ、瞳孔は右が散大、対光反射なし。左は2、対光あり。念のためネックカラーつけて搬送してください」


救急隊は驚いた顔をした。

そりゃそうだろうな。


「あの…医療関係の方ですか…?」

「ただの通行人ですけど…一応、医者です…」


あからさまにホッとした顔…!?

待て!こっちだって不安なんだよ!


「先生も同乗願います!」

「…えっ…!?」

「城東医大搬送許可出ました!」


ウチじゃないか!?

気まずい!!

なのに…


「空くん!呼吸止まった!!」
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