あおぞらカルテ
目まいがする。

どうすんだ、オレ!?


「で、電話つながりますか!?医大病院…」

「つながってます!」


ここは、プライドも何も捨てて、頼るしかないっ…!


「もっ…もしもし!?研修医の道重ですっ!!」


もう、半泣きだ。

逃げ出したい。

電話の向こうから聞こえたのは、田尾先生の声だった。


“…は?道重?なんでそんなとこ…”

「あとで説明します!と、とにかく、オレっ…どうしたらっ…」

“状態は?止血できたか?”

「止血はできてます!けど今、呼吸が…」


時間がない。

この人の命は、今オレの手にかかっているんだ。

焦り過ぎて、自分が何を言ってるかわからない。


「挿管していいですか!?」


救急隊が持っていた挿管セットをひっつかんで、電話の向こうの指示を仰いだ。


“やってみろ”


妙に落ち着いた田尾先生の声だった。

落ち着け…落ち着け…

絶対助けるからな…

絶対に…。
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