朱家角(上海水郷物語1)

水郷

今年は雲南省に行くつもりにしていたのだが、
どこでどう間違えたのか鎖を6000本も
買い付けてしまった。

あまりに重いのでホテルで数えなおすと
やはり5割り増しの6000本だった。
領収証もそうなっている。

『まあいいか。たくさん売ればいいのだ。ここは中国』

本庄はそう納得して今年は雲南は諦めて、
上海近郊の水郷めぐりをすることにした。

まずは杭州から烏鎮にはいる。あいにく小雨交じりの
曇天だ。ここがバスターミナル?かと思われるほどの
泥んこの広場。到着と同時にわいわいと暗がりから

人が現れて声をかけてくるがさっぱり分からない。
中年のおばさんが旅館の名刺を差し出した。

「多少銭?」(いくら?)
「80元一天」(1日80元)
「50元?」
「70元、看一看」(ちょっと見てみて)
「熱水淋浴有?」(熱いシャワー有る?)
「有。空調、電視有」(テレビエアコンつき)
「空調不要60元?」
「60元、好」

で決まった。1泊900円だ。幸い目的地の近くで
全て歩いて回れそうだ。

次の日も冷たい雨が続いた。傘をさして川沿いの
石畳を歩く。明代からの民家が狭い石畳の両側に

ずっと続く。昔も今もこれからも
ずっとこの雰囲気は続くのだろう。

天気が回復しないまま次の水郷朱家角へ向かった。
朱家角は上海の西30kmの所にある大昔からの

水郷で烏鎮よりも一回りこじんまりとしていて、
人々の生活もいたるところに垣間見える。

本庄はとても気に入った。3日ほどここに滞在する
ことに決めた。宿はバスターミナルの裏の

春風旅館。1泊60元で上海中心部の半分だ。
その分やはり熱いシャワーは出なかった。
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