副会長の初恋語
もう、しつこい。

歌わないって、何度言ったらわかるのよ。


「いい加減にして」

「だから、歌いましょって」


しつこい!!

あーダメ、もう我慢の限界。

「・・・そろそろ本気で怒るわよ?」

「え!?」

私の気迫は、他の人のそれを軽く超えるものがあると言われたことがある。

無意識の内に、自分の周りに威圧感を漂わせてしまっているのかもしれない。

キレ・・・つまり、堪忍袋の緒が切れてしまった時はなおのことだ。


しかも無駄に自尊心が高いため、下手に見栄を張る。

キレやすくプライドの高い人間など最悪以外の何者でもない、と自ら思う。

そんな自己嫌悪を少なからず身の内に宿しながらキレるのは、精神が病んでしまいそうなのだ。


・・・いや、それはさすがに言い過ぎか。


話は逸れてしまっていたが、つまりはそういうことなのだ。


「(怖いって、思うかな)」


驚くべきことに、こんな感情を抱いたのは本当に久しいことだった。

すごく、久しぶりの。

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