それでも僕は、お前が嫌いだ

 「なにそれ、」

 ズズっと根を引きちぎりながら、出たばかりの芽を踏み荒らし木々が行進してくるのを、つまらないことのように冷めた目でみつめるアベルが続ける。

 【千切れた指先、剥れた爪、爛れた皮、落とされた毛、落ちた眼球、埋もれた舌、】

 そこまで言って、冷静だった男の顔が青ざめた。

 
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