それでも僕は、お前が嫌いだ

 「なっ!ディア様!“それ”は詠んではいけない!」

 なおも木々の行進は続き、真っ直ぐにアベルへと向かってくる。

 男の忠告も聞かず、無垢な少年のような笑みを浮かべて。

 アベルは両手を胸に当てて、頭(こうべ)を垂れた。

 【背徳の父、オーディン】

 

 
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