それでも僕は、お前が嫌いだ
「よく言うよペテン師が。呪毒なんて古い手使って何が“死んで欲しくない”だよ」
唾と言葉を吐き捨て、アベルは口元を拭う。
呪毒(じゅどく)とは、呪いによって人を苦しめる、または死に至らせる術の名前だ。
使うことが出来るのは、アベルの目の前に居る男のような術者だけ。
黒い装束といい、杖といい、お前は魔法使いかと言いたいがそんな余裕の無いアベルが未だにゲホゲホと咳き込み赤い血を吐く。