それでも僕は、お前が嫌いだ

 「なおるよ。ただし、“直る”だけどね」

 「なにを」

 男が問いかける前、アベルは胸に両手を当てた。

 「直るよ。僕の言葉は絶対だ」

 「させませんよっ!」

 杖を構えた男が何やら叫ぶもアベルの方が早い。

 何が起きたか、先程まで立っているのがやっとであったアベルが微笑を浮かべ、男を見ていた。

 ジッと、獣が獲物を見るような目つきで。

 

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