君と杯を交わそう ～契約婚から築く愛～

始まって少しして真司はやってきた。走ってきたのか、額には汗が光っている。



「あ、西森さん。お疲れ様です。良かったらどうぞ」



杏莉は真司が入ってくると同時に、タオルを持って駆け寄った。



「ありがとう。西森さんなんて堅苦しいから。真司でいいよ」
「でも……」
「そうそう。これから長い付き合いになるんだし、ね」
「わかりました。じゃあ、真司さん」
「そうそう」
「俺たちも下の名前でいいよ」
「わかりました」


真司さんは笑顔で私を見ると、すぐに奥にいる陵さんに話しかけた。


「で、試合は？」
「始まったばかり。特に何も」
「よし。久仁彦ー、ご飯よろしく」
「はいはい」




久仁彦が作ったご飯を食べながら、試合を見る。


90分にロスタイムが7分の計97分の試合は3:2でみんなが応援しているチームが勝った。