君と杯を交わそう ~契約婚から築く愛~
「結婚って言っても契約婚みたいなもんだ。俺たちはそれぞれある理由で結婚相手を探してる」という真司。
「嫌なら断っていい。別の子と結婚するだけだから」という純哉さん。
「契約婚でも籍は入れるし、式はそれぞれだけど」という久仁彦。
「ただ、その理由が解決したら離婚するかもしれない。離婚するかしないかはお前たち次第だ」という陵さん。
「私たち…次第?」
「ああ。俺たちを本気にすれば離婚しないで済む」


訊ねたことに答えてくれるのは陵さんだった。
「……そのためにマチ婚に参加したんですか?」
「ああ。ただ、ひとつだけわかってほしいことがある。俺たちは相手を適当に選んでるわけではない」
「それぞれが話して、気に入った相手にこの話を持ち出しているんだ」
「でも、まだ探してるってことは承諾されないんですよね?」


理解したのか、紫苑は陵さんに訊ねていた。


「そう。まあ、期限付がネックっていうより、今すぐ必要だからそこがネックみたい」
「すぐに籍入れるんですか?」
「出来るならね」




普通に考えて非常識すぎる。けれど、私たちは既に彼らに恋をしていた。


「わかりました。お願いします」
「私も」
「いいの?杏莉ちゃんも眞澄ちゃんも」
「はい」
「私もいいです。というか、結婚したかったんです」
「私も。他の人と結婚されるくらいなら……」
「ああ……。ありがとう」




きっと、初めて会った時から彼らに恋をしていた。一目惚れだったのだから。


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