君と杯を交わそう ~契約婚から築く愛~
「これで問題はこっち側だけか」

再び、陵の車に乗り込み車は走り出した。

「どこに向かっているんですか?」
「実家。今日しかチャンスがないし。少し、スピード上げるよ」

そうして、着いた先は正に絵に描いたようなお金持ちの家だった。

「……ここですか?」
「そう。行くよ」
「あ、はい」

唖然としている紫苑を余所に陵は中に入っていく。


入った瞬間、執事がやってくる。

「陵様。此方の方が、奥様ですか?」
「ああ、正確には婚約者だ。近いうちに籍は入れる。紫苑。彼は執事の梓(アズサ)だ」
「は、はじめまして」

お辞儀をすると梓も丁寧に一礼してくれる。
< 31 / 48 >

この作品をシェア

pagetop