君と杯を交わそう　～契約婚から築く愛～
～真澄＆久仁彦side～

「真澄ちゃん。お待たせ」
「いえ」

真澄の家の近くの駅で真澄と久仁彦は待ち合わせをしていた。彼氏を紹介したことのない真澄にとって、結婚の報告することに緊張しないはずがなかった。

「ここ？」

そこは、普通の一軒家。インターホンを鳴らしてから鍵を開ける。入口には、お母さんが立っていた。

「初めまして。川瀬久仁彦と申します」

お母さんは優しい笑顔を見せた久仁彦さんを気にいったみたいだ。

「お父さん。連れてきたよ……」

真澄は、緊張で声が小さくなっていく。
鋭い目。それは、久仁彦を品定めをするようなものだろう。

「川瀬さん。お仕事は何を？」

お父さんが真っ先に尋ねたのは仕事だった。

「……一応、陸上選手をしています。無所属ですが」
「無所属ですか？」
「はい。正社員で働いている所はないんですが、友人のお店で働かせて貰っています」

お父さんは渋い顔をする。
娘が結婚したいと言っていた相手がフリーター同然ならば、それは当たり前だろう。
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