悲観のブルーダイアモンド


ワインを嗜みながら
公爵夫人を会話した。


彼女は私をけなすようなことは
一言も言わなかったが
鋭い瞳で私を見ていた。
まるで憎悪にかられた瞳で。


何時間にも渡って
私の誕生日パーティーは行われた
品定めをしていたどこぞの王子様たちが
同じような言葉で
同じような仕草で
私を口説く。

つまらない話ばかりで退屈


そろそろ嫌になる。
王女は案外退屈。
締め上げられたウエストが
悲鳴をあげ出した。


あまりにも面白みがないので
私は裏庭へとでた。


噴水が音をたてて
虫の声が聞こえ
屋根がついた道を抜ければ
外でも踊れる広めのダンスホールが出てくる

周りには純金のベンチとか
ピカソやルソーの彫刻もある。
その芸出品は私でも創れると
本気で思った。

徐々にダンスホールに近づくにつれて
人影が見え始めた。
ぼんやりとした月の灯りが
雲から解き放たれ姿を現した時
その影が男のものだとわかった。

ダンスホールの真ん中で
男は月を見上げて微動だにしなかった。

私が声をかけても
振り向きもしなかった。
ごきげんようとだけただ返された。


「ルイーズさん…でしたっけ?今日は月が綺麗ですね」


月を見上げたまま少しの時間を置いて
話して来た。

「えぇ…。」

なぜこの人はこちらを振り向いてないのに
私がルイーズだとわかっただろうか。

「なぜわかったかって?僕は超能力があるのさ。」

そう言ってこちらを振り返る。

赤毛で緑色の瞳をした
まるでおとぎ話に出てくるような
王子様の顔をした青年だった。

その顔に見覚えはなかったが
にこりと笑った顔は
奇妙なほど見覚えがあった。

「貴方はだれなの?」

私はきっと怪訝な表情であったと思う。
少しならず身の危険も感じていたし
この男がテレパスだったら
即刻抹殺しなければならない。

「僕はジャック。ジャック・サンスティー。」

緑色の瞳を見つめれば見つめるほど
その瞳に吸い込まれそうになる。

ジャック。とつい口に出してしまい
瞳に見惚れ過ぎてハッとした。

ジャックという男から笑顔が消え
真剣な顔をして
「大衆の前ではフランソワと。僕の名がジャックである事は人に言わないでくれ」

少し歯をかみしめているようにも見えた
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