薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
少年は全てが闇に溶け込みやすい黒系で身を包んでいるにもかかわらず、少女は真っ白な布に
薄紅色の桜と黒い蝶が刺繍された着物に身を包んでいる。それは正反対の色。
少年と少女もまたこの服装のように真反対であった。
色々と。
そのことを少年は自覚していた。だからこそ彼は少女にかかわるのはこれで最後にしようと決めていた。できる限りやめようと。
なぜならそれが無知な少女のためになるのだと知っているから。
少女がこのことを知る必要がない。知るとしても自分の口からではない。それは当主―――少女の母親でなくてはならない。
少年は赤の他人。たとえ少年と少女の家との関係を知っている身だとしても家の立場上での考え方が違う。
だから
「だから言わない方がいい。
これ以上関わってはいけない」
それよりも少年は考えなければならないことが一つある。