薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
「はい。紫音が考えている道はかなりの苦悩が伴うでしょうけど、後悔のない道だと思います」
そうきっと。反感をたくさん買うことになろうが、紫音にとっては満足のいく結果を導くことができる可能性を富んだ道。それに困難も紫音の強靭な精神を前にすれば、乗り越えることは容易であるだろう。
「そう。櫻澤家に惹かれてしまうのは血ってことかしらね」
何を言っているのだろう、母は。確かに紫音は結斗君を私は紅華さんへ恋心に近いなにかを抱いていた…否、私のはまさしく幼いながらの淡い恋心だった。だがそれはあくまで私と妹だけで、母は違う。血とは言えない。