薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~






「ねぇ、藤岡紫音。貴女は何をたく……いいえ、結斗に何を言おうとしているの?」



苛立ちばかり募る少女を前に私―――霧澤静寂は問いかけた。


本当に苛立って仕方がない。この少女は一体何を考えているのだ。この際彼女が何を考えているのかなどどうでも良い。今重要なことは結斗様の負担を減らすこと。私の中では結斗様最優先。その結斗様に今必要なことは早く怪我を治すことだ。その中に彼女なんか必要ない。そもそも結斗様に藤岡紫音なんか必要ない。



「それは……結斗君に協力させてって。だから行かせてもらうね」
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