薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
そんなことさせない。
そうだ。させてはならない。きっと紫音は足手纏いになる。剣術などまともにできない少女が。それではより結斗様の負担が増える。だから腕を掴んだ。
「そんなことさせると思う?私はどんなものよりも結斗様が大切だから。貴女のような足手纏いの人物を協力させるわけにはいかない」
そうだ。させるわけにはいかない。強く強く握り締める。鬱血するであろう強さで握る。しかし、しかし彼女は―――。
「それでも私は行かせてもらうね。私には必要なことだから」
そんな私の腕を片腕で振り払い、己が指定した場所へ向かう。もう私の力など通用しない。仕方あるまい。こっそりと裏から結斗様に負担がかからないよう、支えればよいのだから。