薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~





結斗君は既に来ていた。呼び出したはずの自分が遅れるなんて申し訳ない。反省と済まないという気持ちが自分の中で渦巻く。だから……。



「御免ね、結斗君…その遅れて」



謝罪をした。


本当に悪い気がして。その自分に結斗君が向けてくるのはいつもの優しげな笑み。しかしながら少し違うような笑み。否、『ような』ではない、実際に違う。


今の結斗君の笑みは苦痛に耐えながら浮かべているように感じる。細やかな変化であるが分かった。もしかしたら結斗君は怪我を負っているのではないか。


だから普段結斗君に関してさえもポーカーフェイスを気取っている霧澤が常に傍にいたのだろう。教室中で浮世離れしている2人が珍しく傍にいて目立つことこの上なかった。人々は2人の姿に関して違和感を感じて、噂をしてもいたし…。


予測ではあるが、そんな彼を呼び出し待たせるなんて…自分の中で罪悪感が支配する。
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