薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~



「本当に御免。もしかしてなんだけど結斗君、怪我しているよね?そんな結斗君を待たせるなんて…もう…」



頭の頂点に何かが置かれる。これは結斗君の腕。梅雨入りしそうな時期故に白い皮膚のみに覆われているか細い腕。手は思いの外固く、常に家にいた(所謂引きこもり)少年の腕とは思えない。きっとたくさん剣を振ったのだろう、鍛えたのだろう。触られただけで分かる。この人はたくさんの努力をしてきたことが……。



「気にしなくても良いんだよ、藤岡さん。そんなことより俺に何か用?」



「うん。結斗君、今結斗君がやっていることをお手伝いしたいの。お兄さん……紅華さんを救おうとしているのでしょう」
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