箱庭で、君と共に。
「ふぅ…」



また、溜め息



でも今日…というか、ずっとここにいるせいで日付けがわからない



朝と昼と夜はわかる



朝は格子から鳥の鳴き声が聞こえる



昼はお父様が勉強を教えてくださる



夜は…私の身も心も覆ってしまうような闇が広がる



いつもは、夜は嫌いなのに、今日の夜は何かが違う気がする



嫌な予感と良い予感が混ざった、不思議な感覚…



何故かしら…?



と、その時、ドアが開く音がした



「美代子」
「英司さん…そちらの方は?」
「美代子専属の執事だよ。ほら、挨拶を」
「美代子様の執事をさせて頂きます、神崎と申します。なんなりとお申し付けください」
「実は長期出張をしなければならなくなってな…。他の者は既に仕事があるから、専属の執事をつけようと思い至ったんだ」
「長期出張…。そう…頑張ってね」
「ああ。神崎、後は頼む」
「承知しました」



私の専属執事…神崎さんは、無表情な瞳で私を見据えてきた



私は…何故か、あまり怖くなかった



それは、神崎さんも人間なのだから感情はあるはずという甘ったれた考えなのか、怖いほど良く当たる私の勘なのか…



それは私自身にも、わからなかった

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