幼馴染と甘い夏【短編 】
「うん。危なっかしいな。」
そう言って、翔ちゃんはあたしの手を引いて岩場を進んでいく。
「…(むーん)」
自分ではそんなでもないと思っているだけに、みんなから言われようと、納得がいかないあたし。
だいたい、22歳にもなれば、あたしだって色々学習するってば。
大学4年最後の夏休みは、今度こそ本気で大事にしてくれる恋人を見つけるんだって、決めてきたんだ。
自分で言うのもなんだけど、面食いで惚れっぽいせいか、男運が悪いみたいで…。
と、考え事をしていたせいで、足元を滑らせる。
「きゃっ!!」
転ぶと思って目をつぶったけれど、想像した痛みはなく、転んでもなく…。
そっと目を開ければ、逞しい腕がそこにあった。