幼馴染と甘い夏【短編 】
「オマエ…。いい加減自覚しろって。考え事なんかしながら歩きやがって。」
頭の上から翔ちゃんの声が降ってくる。
あ、あたし翔ちゃんに抱きしめられてる…?
「ご、ごめん。」
離れようと翔ちゃんの体をぐっと押してみたけれど、ビクともしない。
「…? 翔ちゃん?」
「アリサはさ、隙がありすぎるんだよ。こんなところに、平気で男と二人でくるし。夏だからって、薄着しすぎだし。人任せに足元見ないで歩くし。」
なんか、あたし、いきなり怒られてる…?
見上げてみれば、あたしの顔とは反対側に顔を背けていて、表情がよく見えない。
こんなところってのは、この岩場のこと。昔よく遊んだ、海水浴場からはちょっと距離のあるところ。