幼馴染と甘い夏【短編 】
上手く反論ができなくて、子供みたいに下を向いてつぶやくと、
ぐいっと身体が引かれて、視界が反転する。
一瞬で隣に座っていたはずの翔ちゃんに押し倒されていて、グラデーションの空が視界に広がる。
目の前に、翔ちゃんの顔。
「…アリサがあんまりアホだから、念押ししとく。
相手が俺でも、あんまり男に安易に期待を持たせるようなこと、すんな。」
苛立っている翔ちゃんの顔が、険しくて、怖い。
つまり、こんな人気のない場所で、ホントに食われちゃうぞ、と。
「・・・ごめん。」
期待を持たせるとか、そういうつもりで言ってるわけじゃないんだけど、相手が怒っているのがわかるので、勝手に謝ってしまう。
ん?謝ったら、それを肯定することになっちゃう?
「あ、えと、気を付けマス・・・?」