幼馴染と甘い夏【短編 】
「アヤカ」って、誰?
そのまま固まるあたしに、勘違いした翔ちゃんは、
「悪い。言い過ぎたな。でも、今日はソレ、着てろよ。」
そう優しい口調で言い残し、哲平兄ちゃんの後を追って行った。
厨房では、仕込が始まっている。
あたしも翔ちゃんのパーカーを着て、外の呼び込みに加わらなきゃいけないんだけど。
翔ちゃんの匂いに包まれてしまうと、どうしてもさっきの言葉が思い出されて、落ち着かない。
だいたい、翔ちゃんのじゃ大きすぎるよ。
早く脱ぎたいような、ずっと着ていたいような…。
お昼から来る愛理に、Tシャツを持ってきてもらえるよう頼んで、
お客さんに利用説明をしながらも、早く愛理が来るように、祈った。