幼馴染と甘い夏【短編 】
「昔は大して変わらない大きさだったのにな…。」
「そうだねー。」
勝手にドキドキ高鳴る心臓の音。
気付かれないようにと、平然を取り繕うのに必死で、翔ちゃんの目を、直視できない。
重ねた手を、どうしたらいいか分からず、そっと引こうとすると、その手をぎゅっと握られる。
ハッと目線を上げると、切なくあたしを見る、翔ちゃんの顔。
なんで、そんな目で、見るの…?
お互いが無言のまま、あたし達の視線が交錯する。
長いような、一瞬。
外から哲平兄ちゃんの声が響く。
「おーい!翔!ご指名だぞー。」
・・・ウチにそんな制度ありませんけど?
「今行きます!」
翔ちゃんは着替えのTシャツを被ると、何も言わないまま出て行った。