幼馴染と甘い夏【短編 】
はぁー、っとため息をついて、座敷の端に一人で壁に寄りかかって座る。
休憩時間、今日も遊ぶ気にもならなくて、窓から外の海を眺めれば、お日様の光が反射して眩しすぎて、目を細める。
翔ちゃんは、いつもお日様みたいにみんなに笑顔で。
あたしにはそれがやっぱり、眩しい。
ぼーっと考えてたせいで、向かい側に人が座ったことに気付かず、
「あの、お店のコだよね?休憩中?」
声を掛けられて、ハッと顔を向ける。
「あ、はい。スミマセンすぐ退きますね。」
そう言って、立ち上がろうとしたら、すぐに止められた。
「いや、俺、友達待ちで暇なんで、まだ休憩なら、話し相手になってくれませんか?」
控えめにそう言った男の人は、黒い髪に眼鏡をしたサラリーマン風。
大人の落ち着いた雰囲気は、よくあたしをナンパしてくるチャラ男にはないもので。
あたしはすっかり気を許していた。