幼馴染と甘い夏【短編 】
ケンタさんというその人は、元々は地元の人らしく、あたしとは共通の話題が多くて、思いのほか話が弾んだ。
それでも、目で店内の翔ちゃんを追ってしまうあたし。
すると、話している近くのテーブルで、翔ちゃんがお姉さん達につかまってしまった。
「翔君の休憩は?いつ?」
「あー、俺の休憩、もう終わっちゃったんだよね。」
「えー、残念~。」
それでも引き下がらないお姉さん。スタイルもよく、ビキニがよく似合う。
「じゃあさ、メアド交換しようよ、ね?」
どうやら、ここ何日か翔ちゃんにアピールし続けている様子。
「ごめんね、俺、嫉妬深いカノジョいるんだよね。怒られちゃうからさ。」
何気なく放たれた翔ちゃんの言葉に、お姉さんだけでなくあたしまで思考がフリーズする。
・・・なんだ、やっぱり彼女いるんじゃん。
彼女のことしか見てない、そう言う翔ちゃんは、やっぱり素敵な笑顔で。
そう思ってもらえる「カノジョ」が羨ましい。
それはきっと、「アヤカ」さんのこと。
「えー、うそー?」
さすがのお姉さん達も、これ以上は見込めないと思ったのか、粘るのをあきらめた様子。