幼馴染と甘い夏【短編 】
気付けば、周りに転がった空き缶は7~8本。
お酒は飲める方のあたしだけど、さすがに酔っぱらってきたのが分かる。
「あはは。飲みすぎた~!」
「結構強いのな、アリサ。俺も楽しくて、つい飲みすぎたわ。悪ぃ。」
「別に、いいよ~。でも、そろそろ、帰らないとねっ。」
あたりはすっかり静まり返り、引いては押し寄せる波の音だけが、あたりを支配する。
見上げれば、満月が空高く輝いていて。
「キレー!!」
真上を見上げたまま、月に手を伸ばす。
「危ねぇって!」
見上げたまま、ひっくり返りそうにふらつくあたしを、がっしり支える、逞しい腕。
後ろか支えるようにして覗き込む影。
・・・翔ちゃんの顔だ。
しまった!と思った。