幼馴染と甘い夏【短編 】
「そんな目で見られたら、俺、期待するぞ?」
「え、だって、…?」
さっきから、翔ちゃんは何を言ってるの?
「ホント、どんだけ俺を翻弄するんだ。どうせ無意識なんだろうけど、...」
眉を八の字に下げて、困ったようにつぶやくと、
ゆっくりと翔ちゃんの端正な顔が近づいてきて。
優しく唇が塞がれた。
波の音が、岩場でのキスを思い出させる。
何度もそっと触れる唇は、角度を変えて繰り返される。
こんなキスされたら、あたしだって期待してしまう。
あたしを好きになってくれてるんじゃないか、って。
翔ちゃんを、独占したいよ・・・。
あたしは、握りしめていた手を、そっと翔ちゃんの背中に添わせる。
すると、翔ちゃんの手も、あたしの両頬から、あたしの背中に回された。
唇を吸われ、舌が少しずつ侵入してくる。
ゆっくりと、けれど確実に侵入を深めるキスに、頭の芯がぼぉっとしてくる。
何も考えられない。
今は、このキスだけ感じていたい…。