幼馴染と甘い夏【短編 】
ぐぅぅ~。
お腹の音で目が覚めるって、どうなんだろう…。
辛くても悲しくても、お腹は減るもので。
時計を見れば、もう10時。
すると、ガチャリ。
ドアの開く音に目をやれば、愛理が着替えに入ってきたところだった。
これから海の家に向かうはず。
「ちょっとぉ~、泊まるならそう連絡しなさいよね?心配したんだよ?」
お説教モードでこちらに向かってくるものの、泣き腫らした顔を見るなり、愛理は表情を変えた。
「・・・どした?顔、酷いよ?」
その表現に、苦笑しつつも、言葉が見つからず、濁すようなことしか言えなかった。
「うーん。ちょっと。」
「翔君と、何かあった?」
「ん。でも、何も言わないでね、あたしのこと。」
流石の愛理にはお見通しだったみたいだけれど。
自分の中で気持ちが消化できなくて、これから海の家に行ったら翔ちゃんに会う愛理には、何を言ったらいいか、分からなかった。