幼馴染と甘い夏【短編 】
「ケンタさん・・・?」
「こんなところでどうしたの?バイトはお休み?」
優しげで爽やかな笑顔で、片手をひらひらさせて近寄ってくる。
海の帰りらしいTシャツに短パン、ビーチサンダルという、ラフな格好。
車にはお友達が乗っているのが見える。
「あ、うん。今日はお休みで…。」
驚きながらも、笑顔を作る。
すると、あたしの顔を覗き込んで、じっと目を見つめてくる。
切れ長の、真っ黒な瞳に、自分の状況を見透かされたような気分になり、無意識に身体が強張った。
ケンタさんは、友人に先に行くように手ぶりで伝えると、あたしに向き直る。