「 好 き 」【短編】
あたしの隣に座っていた“あの人”が立ち上がり、バスから降りた。
あたしもその人を追いかけるようにして降りる。
『プシュー…』
バスが去って行った。
「…あなたは、龍哉さん?」
「おぉ? やっと思い出してくれたか」
イケメン龍哉の顔がくしゅってなるこの顔!
あたしが好きだった笑顔!!
「久しぶりですね! 一年ぶりですか?」
「そんくらいなるんじゃないか? それよりも、女らしくなっちゃってな~!」
「目線がエロいですよ」
「ハハッ、そうかあ~?」
この人は…
タケオカ リュウヤ
武岡 龍哉
輝のお兄さん。
優しくてカッコよくて…。
あたしの憧れの人。