恋愛ゲーム。


どういう意味…?

「どういう意味よ?」

松田くんは辛そうな顔をして、
淡々と語りだした


「俺には昔、好きな人がいた。
本当に好きだった。
その子に告白して、付き合うことが出来た。
--が、彼女はその日、交通事故に遭った。
彼女は幸い、一命を取り留めた…が、俺の記憶だけ、すべて消えていた。
そのとき、気づいたよ。

-俺は、誰も好きになっちゃだめだって。」



…あ…
ゲームでも同じ事言ってた…
ゲームではこの固く閉ざされた心を溶かしたのは
主人公ちゃんだった。


でも、今の私に、そんなこと出来ない。

松田くんの過去を聞いたらよけいに涙が止まらない…



「松田に…そんな過去が…
私…1人で怒って…ごめん。」


「いいよ、別に。」


…いいわけない…
だって松田くん…苦しそう…


「…明日花。」

香奈が私に向かって微笑んだ。

「…あんたが松田の心を溶かしてやって。
あんたなら、できる。」


香奈はそう言い残し、その場から去っていった。
< 132 / 322 >

この作品をシェア

pagetop