プラチナ・ラブ

おばさんに教えてもらった通りの道を歩いていく。

普通の住宅街。


一軒一軒表札を確認していく。


加山……加山……。


「あ……あった……」


……ここが……親父の……。

俺は家を見上げてゴクリと唾を呑んだ。


……インターホンに向けて人差し指を伸ばす。

ボタンの手前で……指が止まる。


これを押したら……親父に会える……。


何となく覚えている……親父の顔。

あの親父に……



ピンポーン



……押してしまった。

ガチャリと音がしてドアが開く。


「はーい」


中からは中年のほっそりとした女性が出てきた。

親父の新しい奥さん?

まぁ……いてもおかしくないか。

離婚して十年だもんな。




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