プラチナ・ラブ
「昼頃から閉じ込められ、食事も水も与えられませんでした。
……もう虐待の域です。
そして……その日の夕方。
その日は雨が酷く……雷も鳴っていました。
家の中にいた全ての人間が花音様のことを心配していました。
執事もメイドもコックも……そして私も。
……その時でした。
激しい雷の音と共に、一瞬で家中の電気が消えました。
……停電です。
非常用の電灯もあったのですが……その時は上手く作動せず、しばらく真っ暗闇のままで
した。
真っ暗な室内……空腹……激しい雷……出ることのできない部屋。
……幼い花音様にとって、これ程の恐怖はなかったことでしょう。
花音様の泣き叫ぶ声が聞こえました。
……だけど、誰も助けに行こうとはしなかった。
もし小百合様に歯向えば……自分の首が飛ばされる。
そして……小百合様はその日の夜、雨が止むまで花音様を部屋から出すことはありませんでした。
……部屋から出てきた花音様は、恐怖で震えていました。
……その日から、花音様は我々大人の前であの愛くるしい笑顔を見せることはなくなりました。
当然ですよね。
自分可愛さに……幼い花音様を見捨てたんですから。
花音様は幼いながらにそれを分かっていた。
……そして、大人を信用することをやめました」