プラチナ・ラブ

「……矢田さん……」


……入ってきたのは矢田さんだった。


「また……あの人から何か?」

「いえ……。
……私情です」


私情……?


とりあえず、矢田さんを部屋の中に入れた。


「……こんなこと、あの人にバレたら大変ですよ」

「……分かっております。
ですが……どうしても花音様にお渡ししなければならないものがありまして……」

「あたしに…?」


矢田さんはあたしにあるものを差し出した。

これは……


「……手紙?」

「旦那様……花音様のお父様から花音様へ宛てたお手紙です」

「え……お父さんから……?」


でも、お父さんはあたしが生まれる前に……。


ひっくり返して封筒の表を見ると……


「生まれてくる我が子へ……?」
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