プラチナ・ラブ
「……もしもし」
《もしも~し》
「……何だよ」
《あら、お母さんが久しぶりに電話をかけてきたんだから嬉しく思いなさいよ》
……誰が思うかよ。
「……用がねぇんだったら切るぞ」
《用ならあるわよ。
とっても大事な用事が》
「はぁ?」
意味分かんねぇし……。
《あたしね、完全に彼氏と同居することにしたの。
あぁ、でも安心して。
籍を入れるつもりはないから》
「……勝手にやってろよ。
俺にはどうでもいい」
今までだってほぼ同居してるようなもんだっただろ。
《でも、完全に同居するんだったらあの家はもういらないでしょ?
だから、解約することにしました》
「……は?」
《今日中にあの家から出ていってね。
あと、それから今日であなたにお金を払うのはやめにするわ》
「何言って………」
《あたしはあたしの人生を生きることにしたの。
それじゃあね~》
「ちょっ……待っ……おい!!」
プツッ
ツー……ツー……
空しく響く電子音を聞いて……俺は力なくケータイを持っていた右手を下ろした。
今日で解約……?
出ていけ……?
そして……仕送りが終わり?
「……大翔?」
ボーッと突っ立ってる俺が心配になったのか、花音が近づいてきた。
「……悪い、花音」
「え?」
「……今日はもう帰るわ」
それだけ言って俺は家に向かって走り出した。
っざけんなよ……あの女……!!
「ちょっと……大翔!!」