プラチナ・ラブ
「瀬和さんは……」
「ん?」
「瀬和さんは……それで幸せですか?」
花音……?
「確かにあの人は自分で人に傷つけられる心の痛みを知らなければならないと思います。
でも……あなたはそれでいいんですか?」
タカさんはじっとまっすぐ花音の目を見つめた。
そして……小さく息を吐いた。
「……俺の幸せはとっくになくなった。
……娘が死んだ日にな」
「…………………」
「勘違いするな。
俺はあの女を逆に傷つけて嘲笑おうってわけじゃない」
「え……?」
「……変えよう。
あの女を。
人間らしい心を……取り戻してあげよう」
「瀬和さん……」
「小百合は憎たらしいほど君達を苦しめてきた。
……だが、彼女は花音ちゃんの母親だ。
……何があってもその事実は変わらない。
たとえ憎い母親でも傷つくところは見たくない。
それが子供の気持ちだ」
タカさんは……本当に花音の気持ちをよく理解している。
この人は…………
「ま、だからといって俺が小百合と結婚することはないけどな」
「タカさん、再婚とかもうしないつもりなのか?」
「しない。
俺の妻としてやっていけるのはたった一人しかいないからな」
……亡くなった奥さんか。
タカさんは……本当に亡くなった奥さんを愛していたんだ……。