プラチナ・ラブ
「……多分、花音は俺の存在を知らない。
だけど、どうしても会いたくてね……。
血は繋がってなくても、花音は俺にとってただ一人の姪っ子だから」
中原さん……。
「……あの、一つ聞いてもいいですか?」
「何だ?」
「学園長の妹さんは……今どちらに?」
中原さんの話を聞きながら少し気になっていた。
俺が聞くと、中原さんはゆっくり首を横に振った。
「……もういない」
「え……?」
「幼い頃から病弱でね。
病気で……花音が生まれるほんの少し前に」
花音が生まれる……少し前……。
「姉妹の仲はよかったらしい。
小百合も病弱な妹を気にかけていたようだしね。
……だから、小百合が花音を毛嫌いする理由はそこにもあるのかもしれない」
花音が生まれた前後に亡くなった、二人の学園長の大切な人。
でも、それは偶然で……花音は何も悪くない。
だけど、子供嫌いの学園長にとって……花音の存在は悲しみをぶつけるのに丁度いいものだった。
偶然、同じ時期に二人の人が亡くなって……その時に偶然生まれてきた、新しい命。
偶然に偶然が重なって……こんなことになってしまったのか……。