プラチナ・ラブ

「……いい人だね」


あたしがそう言うと、大翔は優しく笑ってあたしの隣に座った。


「そうだな。
俺もあんまり見たことないタイプの大人だ」

「変わってるね」

「変わってるな。
……俺、こんなに良くしてもらったの初めてだからさ。
最初はすげぇ戸惑ったけど……二、三日ですぐに慣れた」


やっぱり……大翔も同じようなこと思ってたんだ……。


「父親に見捨てられて、母親は男に溺れて……結局金に目が眩んで捨てられて。
家も何もかもがなくなった……散々な人生だったけどさ。
タカさんに会えてよかった」

「え……?」

「居候させてもらってるとか、学費払ってもらってるとかそんなんじゃなくてさ……。
こうやって……一つ屋根の下で一緒に暮らして、一緒に温かいご飯食べたり他愛もない話をしたりして……。
そんなあたりまえの幸せを教えてもらった気がする」


あたりまえの幸せ……。


「今までそんなの知らなかったからさ。
でも、タカさんはこんな俺を全部受け入れてくれた。
息子みたいに扱ってくれる、そんなタカさんに……本当に感謝してる」


大翔……。


「……あたしは……どうしたらいいのかな」


あたしがうつむきながらそう聞くと……大翔は優しくあたしの頭を撫でた。


「花音の幸せは花音が決めればいい。
だから……花音がどんな結論を出しても、タカさんはそれを受け止めてくれると思う」


あたしの幸せ……。

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