プラチナ・ラブ

「……最初は引き取ろうと思ったんだ」

「あたしを……?」


叔父さんはゆっくりと頷いた。


「小百合の子供嫌いは聞いてたからね。
花音の世話も全て秘書や使用人に任せていると聞いていた。
だから、小百合に申し出たんだ。
俺が引き取る、と」


あの人に申し出た。

でも、今あたしがここにいるということは……


「……ダメだった。
小百合は頑にそれを拒否した。
あの時は仮にも母親だから愛情があるんだろうと思ってそれ以上は何も言わずに引き下がった。
……だけど、違った」

「違ったって……」


叔父さんは少し躊躇うと……ゆっくり口を開いた。


「花音の前でこんなことを言うのはどうかと思うんだけど……。
……小百合は花音を娘として愛してたから手放さなかったんじゃなくて……将来、自分にとって有益な会社と業務提携をするためだけに……そのためだけに花音を育てていた」


……やっぱり。

そんなことだろうと思った……。


「それを知った時、やっぱり俺が引き取ろうと思ってもう一度小百合のところへ行ったんだ。
だけど、小百合は俺に対して警戒心を抱いていてね……俺とは会おうとしなかった。
そして……そのまま何もできずにここまで来てしまった」


本当にすまなかった、と叔父さんがもう一度あたしに頭を下げた。

でも……この人はあたしのために頑張ってくれていたんだ……。

それが分かっただけで……もう十分だった。

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