プラチナ・ラブ
気がつくと、瀬和さんと大翔はリビングにはいなかった。
気を利かせて出て行ってくれたのかな……。
最初は会うのが少し怖いと思ってたけど……もう大丈夫だった。
「……タカから言われただろう?
娘にならないかって……」
「……はい。
でも……あたし、どうしたらいいか分からなくて……」
「まぁ、確かにそう簡単に答えが出せるものじゃないしな」
それもあるけど……。
でも、一番は……。
「……あたし、父は一人だけだと思ってるんです」
「花音……」
「……父からの手紙を読んだんです」
「手紙……?」
あたしはゆっくり頷いた。
「あたしが生まれる前から何枚か書いてたそうで……。
その内の一枚を矢田さんが父から預かっていたそうなんです」
「そうか……」
「父はあの人のことを分かっていました。
あの人があたしを愛することはないだろうって……手紙にもそう書いてありました。
でも、それを分かった上で……あの人の分もあたしを愛そうとしてくれていました」
生まれる前から……あたしはお父さんにたくさんの愛情を貰っていた。
だから……
「あたしにとって父は……一人だけです」
それだけは絶対に譲れない。