プラチナ・ラブ
「ふーん……そっか。
そういうことなら、大翔がこのままウチで働いてくれても全然構わないけどな」
「え?」
俺が思わず聞き返すと、タカさんはあっさりとした口調で言った。
「今、跡取りをどうしようか考えてるんだよな。
このまま副社長とかに譲ってもいいんだけど、それじゃ何となく寂しい気がして……。
俺としてはやっぱり自分の子供に継がせたかったし……。
俺も親父から継いだ会社だからな」
そっか。
タカさんは御曹司だったのか……。
「大翔さえよければ、の話だけどな。
強制はしないよ。
大翔にもこれからやりたいことが見つかるだろうし」
「やりたいこと……ね」
「まだ若いんだから、これからの人生で何かしらやりたいことが出てくるはずだ。
その時は躊躇わずに突き進め。
失敗なんて恐れるな。
お前は一人じゃない。
お前のバックにはいろんな人がついてる。
友達も花音ちゃんも……俺も。
だから、安心して前へ進んでいけばいい」
タカさん……。
「……ありがとう、タカさん」
「いえいえ。
それより、時間は大丈夫なのか?」
「え?
……あ、ヤベッ!
タカさん、いってきます!」
「いってらっしゃい」
いってらっしゃい
そう笑顔で送り出してくれる人がいる。
それが俺にとっての……幸せ。